登録支援機関の虚偽申請や行政書士法違反の企業リスクについて。

行政書士の吉田です。

外国人材雇用の受け入れが加速する一方、ビザ申請手続きにおけるトラブルも後を絶ちません。特に登録支援機関が、本来の業務範囲を超えてビザ申請の代行まで行っていると誤認させるようなケースや、実質的にそれに近い行為を行っている実態が少なからず見受けられます。

これは行政書士法に抵触する可能性が高く、依頼した企業側にも大きなリスクが伴います。登録支援機関は責任を取らず、企業側が「特定技能人材」の受け入れができなくなったり、懲役や罰金を科せられる可能性がございます。

日本行政書士連合会も同様に本件に対し、声明を出しています。

本記事では、登録支援機関による不適切なビザ申請関与の問題点と、企業が取るべき対策について、警鐘を鳴らします。

ビザの申請取次・代理は「行政書士の独占業務」

特定技能や技能実習など在留資格と呼ばれる、通称”ビザ”の申請取次は、地方出入国在留管理局長が適当と認める者しか行うことができません。

行政書士法により、登録支援機関の職員が特定技能の在留諸申請書類を作成することはできません。登録支援機関の職員ができるのは、単に申請書類を提出する事実行為である「取次」のみです。

また在留資格の作成・取次などの費用が無償であれば、違法ではないと考えるかもしれませんが、申請書類作成自体を無償とし、申請書類の作成と密接関連する他のサービス提供を有償とし、実質的に書類の作成を有償で行ったと同視できる場合も刑事罰の対象となります。

そのため登録支援機関の職員が、特定技能の在留資格申請の書類の作成を無償で行ったとしても、申請取次を有償で行うと刑事罰の対象となります。

行政書士法違反は「知らなかった」では済まない。

「実際には多くの登録支援機関が申請までやっているじゃないか」という声も聞かれます。しかし、その実態がどうであれ、法律は法律。

行政書士資格を持たない者による申請代行は違法行為であり、その違法行為に加担した企業も、共犯や幇助犯として罰則の対象となる可能性があります。

「悪意はなかった」「登録支援機関に任せておけば安心だと思った」という言い分は通用しにくいのが実情です。

知らぬ間に違法行為に加担し、企業の信用を大きく損なう事態になりかねません。

「無料ならOK」「書類作成だけ」という甘い罠

「うちは報酬を払っていないから大丈夫」「書類作成を手伝ってもらうだけだから」といった考えも危険です。

行政書士法違反は、報酬の有無に関わらず成立し得ます。

 反復継続して他人のために官公署への提出書類を作成することは「業として」とみなされ、無償であっても違法となる可能性が高いのです。

「書類作成のサポート」といった曖昧な言葉で実質的な代行が行われているケースも多く、企業側はその実態を慎重に見極める必要があります。

虚偽申請のリスクは企業の存続にも関わる可能性

もし、登録支援機関が主導して作成・提出した申請書類に虚偽の内容が含まれていた場合、その責任は甚大です。

登録支援機関だけでなく、申請者である外国人本人、そして何より雇用主である企業が最も重い責任を問われる可能性があります。

ビザの不許可・取消、退去強制、企業の代表者や担当者の刑事罰、そして最も恐ろしいのは、「不正行為を行った企業」としてのレッテルです。

一度失った信用を回復するのは容易ではなく、今後の外国人雇用が絶望的になるだけでなく、企業イメージの失墜による事業への悪影響も避けられません。

企業が今すぐ確認すべきこと、取るべき行動

このようなリスクを避けるため、企業は以下の点に留意し、慎重な対応を徹底すべきです。

  1. 契約内容の再確認:登録支援機関との契約書で、業務範囲が明確に記載されているか、ビザ申請代行を示唆するような曖昧な表現がないか確認しましょう。
  2. 「何でもお任せください」には要注意:「ビザ申請も全てサポートします」「入管手続きは丸投げで大丈夫」といった言葉を鵜呑みにせず、具体的にどのような「サポート」なのか、どこまでが合法的な範囲なのかを厳しく問い質しましょう。
  3. 費用内訳の確認:不自然に高額な「支援費用」や「コンサルティング料」が請求されている場合、その内訳に違法な申請代行費用が含まれていないか疑う必要があります。
  4. 担当者の言動チェック:登録支援機関の担当者が、あたかも行政書士であるかのように振る舞ったり、ビザの許可を確約するような言動をしたりする場合は要注意です。
  5. 迷ったら行政書士へ相談:少しでも「おかしいな」「これは法的に大丈夫なのだろうか」と感じたら、ためらわずにセカンドオピニオンとして、必ず行政書士に相談してください。

コンプライアンス遵守こそが企業を守る最大の盾

外国人材の受け入れは、適正な法務手続きの上に成り立つものです。「バレなければ大丈夫」「他もやっているから」という安易な考えが、最終的に企業自身を窮地に追い込むことになります。

コンプライアンスを遵守し、ビザ申請に関しては必ず専門家である当事務所のような行政書士事務所に依頼する。 これが、外国人材を適法かつ円滑に受け入れ、企業のリスクを最小限に抑えるための鉄則です。

登録支援機関はあくまで「支援」のパートナーであり、ビザ申請の専門家ではないことを、今一度強く認識してください。