中国人の帰化に関して
日本への帰化を希望する外国人のうち、中国籍の方が近年非常に高い割合を占めています。法務省の統計によると、年間2,000人から3,000人規模で中国籍の方の帰化が許可されており、全帰化許可者数の約3割以上を占めるのが常です。
最近では、これまでトップだった韓国・朝鮮籍を抜いて、中国籍からの帰化者数が最多となる傾向が見られます。これは、日本に暮らす中長期在留外国人のうち、中国籍の方が圧倒的に多いという現状を反映していると言えるでしょう。
新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に帰化申請数全体が減少しましたが、2023年以降は回復し、申請者数はコロナ禍前の水準を超えて増加しています。
この動向から、今後も中国籍の方の帰化申請は堅調に推移すると予想されます。
審査の厳格化と重要視される点
帰化申請の審査は引き続き厳格です。特に重要視されるのは、以下の点です。
①安定した生計
自分または家族の収入で日本での生活を安定して営めるかどうかが重視されます。明確な基準はありませんが、一人暮らしで年収300万円以上が望ましいといった目安が示されることもあります(あくまで目安であり、個別の状況で判断されます)。
②納税・年金納付
所得税や住民税はもちろんのこと、国民年金や厚生年金への加入と保険料の適正な納付状況が厳しくチェックされます。未納や滞納は不許可の大きな要因となります。
③良好な素行
交通違反の頻度や内容、犯罪歴の有無など、社会規範を守った行動が求められます。過去にオーバーステイ(不法滞在)があった場合は、審査が極めて厳しくなります。
中国特有の書類取得の課題
中国籍の方が帰化する際に最も複雑なのが、本国書類の取得です。
出生証明や婚姻証明など、身分関係を証明する「中国公証書」は、原則として中国国内の「公証処」でしか取得できません。
以前は日本の華僑総会を通じて一部代理申請が可能でしたが、2021年7月以降は原則として廃止されています。このため、ご自身で中国に帰国するか、中国にいるご家族に依頼する必要性が高まっています。
専門家活用のメリット
これらの複雑な書類準備や申請手続きの負担を軽減するため、中国人の帰化手続きに詳しい行政書士に相談する方が増えています。
専門家は、現地との連携や中国語書類の翻訳支援も行えるため、スムーズな手続きに繋がります。
中国籍の方の日本への帰化は、今後も活発な動きが予想されます。条件を理解し、必要な準備を確実に行うことが、帰化実現の鍵となるでしょう。
当事務所のサポート費用

| サポート内容 | 金額 |
| 書類チェック・動機書作成 | 99,000円〜110,000円(税込) |
| フルサポート申請 | 22,000円〜242,000円(税込) |
帰化の条件
日本国籍を取得するための「帰化」には、国籍法第5条に定められた主要な6つの条件があります。これらを全て満たすことが原則ですが、特定の条件下では緩和される「簡易帰化制度」も国籍法に明記されています。

1. 住所(国籍法第5条第1項第1号)
- 原則: 「引き続き5年以上日本に住所を有すること」
- そのうち3年以上は、就労系の在留資格を取得して働いている必要があります。
- 「引き続き」の注意点:
- 日本国外への出国が連続90日以上、または年間合計150日以上ある場合、それまでの居住期間がリセットされる可能性があります。
- 留学や技能実習、パート・アルバイトなど、就労資格ではない在留期間は、就労期間としてカウントされません。
- オーバーステイや不法就労は認められません。適法な在留資格で日本に居住・就労していることが前提です。
2. 年齢(国籍法第5条第1項第2号)
- 原則: 年齢が18歳以上であり本国法によって行為能力を有すること
- つまり、単独で帰化申請する場合、本人の現在の年齢が18歳以上であり、かつ元の国籍国でも成人年齢に達している必要があります。
- 例外: 親と一緒に帰化申請する未成年の子や、簡易帰化制度の対象となる場合は、この限りではありません。
3. 素行(国籍法第5条第1項第3号)
- 原則: 「素行が善良であること」
- 犯罪歴、納税状況、社会への迷惑行為の有無などが総合的に判断されます。
- 主な判断材料
- 税金・年金の滞納: 所得税、住民税、年金、健康保険料などをきちんと支払っているか。
- 交通違反: 軽微な違反でも回数が多いと不利。飲酒運転や大きな事故は1回でも不許可の可能性あり。
- 犯罪歴: 内容や程度によるが、賠償や罰金・懲役刑などの償いを終え、一定期間が経過しているか。
- オーバーステイ: 過去に不法滞在があると審査は非常に厳しくなります。経緯や反省度合いによって判断が異なりますが、一般的に10年以上経過していれば可能性はあります。
4. 生計(国籍法第5条第1項第4号)
- 原則: 「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」
- 自分や家族・親族の収入や資産によって、経済的に日本で問題なく暮らしていけることが求められます。
- 目安: 月々の手取り額18万円、年収250万~300万円程度が目安とされています。
- 注意点:
- 無職の場合でも、十分な資産や親族からの経済援助があれば許可されることもあります。ただし、その場合でも「住所の条件」で定められる就労期間の要件は通常適用されます。
- 国民年金保険料の納付猶予や免除を受けている場合、経済的に困窮していると見なされ、帰化申請の不許可事由となり得ます。
- 借金があっても、滞納や遅延がなければ問題ありませんが、収入に対して著しく借入が多いと審査が厳しくなることがあります。
5. 重国籍防止(国籍法第5条第1項第5号)
- 原則: 「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと」
- 日本国籍を取得する時点で、元の国籍を喪失しているか、同時に喪失することが求められます。日本は二重国籍を認めていません。
- 例外: 本人の意思で元の国籍を喪失できないなど、特別な事情があり、かつ日本人との親族関係があるなど特別の事情があると認められる場合は、喪失要件を満たしているとして扱われることもあります。
6. 思想(国籍法第5条第1項第6号)
- 原則: 「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと」
- 暴力団やテロリスト集団に所属していたり、そのような活動を行う人は帰化できません。
- 注意点: 本人だけでなく、同居する家族や親しい親族に反社会勢力との関わりがあると、審査が厳しくなる可能性があります。会社経営者の場合は、会社の役員や取引先に反社会勢力が関わっていないかも審査対象です。
簡易帰化制度:条件緩和の対象者(国籍法第6条・第7条・第8条)
特定の条件下では、上記の条件が緩和される「簡易帰化制度」を利用できます。
- 国籍法第6条の適用例
- 日本生まれの外国人
- 「日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者」の場合、住所条件が緩和(5年→3年)。
- 「日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者」の場合、住所条件、能力条件、生計条件が緩和。
- 日本人の配偶者
- 「日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者」の場合、住所条件、能力条件が緩和(住所5年→3年、能力は問わない)。
- 「日本国民の配偶者で婚姻の日から3年以上を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者」の場合、住所条件、能力条件が緩和(住所5年→1年、能力は問わない)。
- 日本生まれの外国人
- 国籍法第7条の適用例
- 日本人の子:
- 「日本国民であった者の実子で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者」の場合、住所条件が緩和(5年→3年)。
- 「日本国民の実子で日本に住所を有する者」の場合、住所条件、能力条件、生計条件が緩和。
- 日本人の子:
- 国籍法第8条の適用例
- 日本人の養子: 「日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であった者」の場合、住所条件、能力条件、生計条件が緩和。


